蔡英文総統が南シナ海に関する「５つの取り組み」の成果と進展を強調

　蔡英文総統は１２月９日、国史館で開催された「南シナ海諸島復帰７０周年記念特別展」の開幕式に出席した。このなかで蔡総統は、南シナ海諸島およびその関連海域の主権は中華民国に属すると強調し、南シナ海の領土主権を断固として守り、主権および合法的権利を放棄しないとの主張を改めて表明した。

　蔡総統は、南シナ海海域の問題はきわめて複雑であり、各国が主張する範囲が重なり合い、関係する国の数も多く、地域安全保障、外交関係、各国の政治・経済の利益などに関わると指摘し、政府が引き続き各国と協議をしていくとの方針を改めて示した。

そのうえで蔡総統は、今年７月に政府が南シナ海問題に関して掲げた「４つの原則」（①国際法・海洋法に基づく平和的解決、②多国間紛争解決メカニズムへの参加、③関係国が航行と飛行の自由を守る、④争議の棚上げと共同開発）および「５つの取り組み」の初歩的な成果と進展について、以下説明した。

　①漁業権保護について、ここ半年間、行政院海岸巡防署（以下、海巡署）は東沙、南沙地区での漁業保護に力を入れており、太平島海域巡護の航行回数と時間を増やし、違法に操業している外国籍漁船の取締りを強化している。

　②多国間協議について、政府は各種対話メカニズムを通して、国際社会に向けて我が国が「争議の棚上げ、共同開発」の南シナ海政策の主張を何度も伝えており、関係国からも重視されている。

　③科学協力について、太平島を中心として、周辺国と協力し、地震、津波、気候変動、海洋酸化の観測などの科学協力計画を推進し、実際の行動で南シナ海の平和と持続可能な発展を促進している。

　④人道支援について、海巡署は太平島海域と東沙海域で、引き続き人道的な救援を執行している。関連省庁が協力し、今年１１月２９日に太平島で人道的な救援訓練「南援１号」を行い、国際社会に向けて、太平島が南シナ海地域における「人道的な救援センターおよび輸送補給基地」となる能力を完全に備えていることをアピールした。

　⑤海洋法研究の人材育成の奨励について、内政部（省に相当）および関連機関が、海洋法に関するセミナーを開催するなど、海事問題の専門人材の育成を積極的に進めている。

　今後台湾は、平和、人道、生態、持続可能などの価値観を踏まえて、引き続き南シナ海における航行および飛行の自由を守ると同時に、平等な話し合いを基礎として、関連国と共に南シナ海地域の平和と安定を促進し、共に南シナ海の資源の保護と開発を進めていくことを願っている。

【総統府　２０１６年１２月９日】
写真提供：総統府