第15回台日漁業協議の状況説明(外交部)
第15回台日漁業協議が7月29日、東京のホテルオークラで開催され、午前9時30分から始まり、午後5時30分で終了した。従来の亜東関係協会と交流協会との対話、交渉という既存の枠組み、方式に基づき、羅坤燦・亜東関係協会秘書長を団長とするわが国の代表団が来日し、日本交流協会の然るべきクラスの人員と協議を行った。協議には許世楷・駐日代表と高橋雅二・交流協会理事長も出席し挨拶した。漁業操業の詳細に関する交渉は、行政院農業委員会漁業署の沙志一・副署長が日本側と協議を行った。双方は漁業の枠組みと資源保護について率直に交渉した。
わが国の代表団は協議において、「わが国の主権を守るというボーダーラインを確保しつつ、国家利益と漁民の権益を守る」とする謝長廷・行政院長の7月26日の省庁間会議での指示に基づき、冒頭からわが国の釣魚台諸島に対する領有権の一貫した厳正な立場を改めて示すとともに、わが国漁民の合法的な最大の操業権益を勝ち取るため、漁民が懸念するいくつかの問題について、日本側に対し共同で解決することを要請した。また、代表団は、わが国の漁船は国際法に基づき、日本の領海内を無害通航し、日本の排他的経済水域において自由に通航する権利があること、さらにわが国の排他的経済水域の暫定的法律執行線内における管轄権に対し、日本側がこれを尊重し、わが国漁船の緊急避難に協力してくれるよう要請した。さらに、日本側が漁業問題について、平和的、理性的な会談をもって実務的に交渉し、台日の漁業争議の解決を望むことを誠意をもって示した。
日本側は会談のなかで、日本の「尖閣諸島(すなわちわが国の釣魚台諸島)」に対する領有権を堅持し、わが国に対し日本の「中間線」を尊重し、わが国漁船が中間線を超えて日本の海域および領海に入り、操業を行わないよう求めた。また、わが国の軍艦と海巡署の巡視船が今年7月に2度にわたり「日本の領海を侵犯した」ことに抗議した。われわれは日本側のこの説明に対しては、厳正に反論した。
台日の漁業問題は歴史が古く、関わる範囲も広く、非常に複雑である。それは両国の主権の争議にとどまらず、双方の排他的経済水域のオーバーラップ、漁業管理、漁業秩序、漁獲範囲、種類、数量、海洋資源の保護など、複雑な問題がからんでおり、一回の交渉でそうした複雑な争議を解決するのは容易なことではない。台日双方は今回の協議において、双方が懸念する多くの実質的な問題について善意をもって意見交換し、いくつかの問題について深く率直に討論し協議した。しかしながら、双方の主張には依然隔たりがあり、問題が広範囲にわたるため、コンセンサスを得るには至らなかった。とは言うものの、討論と交渉は率直かつ友好的に行われ、双方の距離が以前より縮まったことは間違いない。今後も引き続き、双方が交渉と意思疎通を図り、台日の漁業問題について妥当な処理と解決を求めていくことになった。
実際に今回の会談において、双方はいくつかの点について具体的な進展を見ることができた。そのなかで比較的顕著なものは以下の通りである。
1、 われわれは日本側に対し、会談後、双方が定期的に交渉を行う枠組みとして「台日漁業工作小組」(Working Group)を設立し、緊急事態の処理や緊急救援の協力を行うことを提案した。これに対し日本側は基本的には可能だとする回答を寄せ、会談後設立に向けて協議する考えを示した。
2、 双方は共同で台日の漁業者同士の交流と交渉を推進することで合意し、それに関する具体的な方式や交流のスケジュールなどについては、さらに進んだ協議をもって推進することとなった。
3、 引き続き台日の漁業問題の解決を図るため、双方は第16回台日漁業会談を来年3月に台北で開催することを決定し、さきの「台日漁業工作小組」は3カ月に一回、会議を行うこととなった。
4、 わが国漁船の緊急避難に必要な経済的担保や日本領海内での無害通航、および日本の排他的経済水域内での自由な通航権などの実質的な議題については、今後「台日漁業工作小組」が適時協議とさらなる検討を行い、双方の交流と意思疎通を密にし、漁業と海洋資源の保護に向けた新しい体制の構築を期待する。
このほか、わが国の代表団は、協議において日本側に対し、双方が合意するまではこれまでの漁業秩序を維持すべきであり、即ちわが国の排他的経済水域暫定的法律執行線以西の海域において、わが国が今後も引き続き漁業保護の行動をとることを表明した。また、今後わが国漁船のVMSシステムの装備を積極的に進める考えを示すとともに、日本側に対し、わが国の排他的経済水域暫定的法律執行線への尊重と相互自制を求めた。
密接で友好的な台日関係に鑑み、今後双方が関連の問題を処理するにあたっては、双方の友好関係が漁業問題の影響を受けないよう、台日全体の関係を考慮することが望ましい。わが国の代表団は協議において、日本側に対し、双方が知恵を出し合って創意を発揮し、海洋資源の永続的な発展を視野に双方の協力を拡大し、紛争の解決に繋げるよう呼びかけた。
【外交部 2005年7月29日】