大規模停電で「再生可能エネルギー政策に変更なし」＝蔡総統

　台湾各地で15日午後4時ごろ、大規模な停電が発生した。蔡英文総統は同日夜、今回の停電について「政府を代表して、全国民に謝罪します」と自身のフェイスブックに書き込んだ。蔡総統はまた、「中華民国政府は分散型エネルギーシステムの構築を推進している。これは、単一の発電所の事故が、全国の電力供給網に影響を与えることを回避するためだ」と説明した上で、「我々の政策に変更はない」と強調した。

　15日午後4時ごろ、石油大手の台湾中油公司の従業員による人為的ミスにより、台湾電力公司の大潭発電所（台湾北部・桃園市）で燃料である天然ガスの供給が約2分間中断。これが原因で、発電所内にある発電施設6基がすべて運転を停止し、台湾の広い範囲で電力の供給がストップ、あるいはブレーカーが落ちるなどした。これにより台湾にある22県・市のうち、17県・市、668万戸で停電が発生した。

　停電の影響は、ケーブルテレビや通信サービスにも及んだ。国家通訊伝播委員会（NCC）によると、15日午後9時12分の時点で、移動通信用基地局328ヶ所でサービスが中断。台湾北部・新北市にある基地局が最も多く、100ヶ所以上に上ることが分かった。17日午前零時には復旧作業が終わる見通しだという。

　電信大手の中華電信によると、固定電話に関しては収容局173ヶ所で緊急発電が作動したため回線への影響はなかった。移動通信に関しては電信回線の分散収容とカバーエリアの重複が奏功し、大規模なサービス中断には至らなかったものの、基地局約1,400ヶ所が停電の影響を受けた。また、光回線キャビネット約3,000台が停電の影響を受けた。

　台湾電力公司では大規模停電発生後、台湾全土で計画停電を実施し、復旧作業に当たっていたが、午後9時40分までに計画停電を解除。現在、電力供給は全面復旧している。

　行政院（内閣）の林全院長（首相）は15日夜、自身のフェイスブックにて、停電の発生により迷惑をかけたことを全国民に謝罪すると共に、責任の所在を明らかにすると述べた。また、経済部（日本の経済産業省に相当）の李世光部長（大臣）が、混乱の責任を取って辞任する意向を示し、受理された。台湾中油公司や台湾電力公司は国営事業であり、経済部がその主務官庁であるため。

Taiwan Today：２０１７年８月１６日

写真提供：中央社
　石油大手の台湾中油公司の従業員による人為的ミスが原因で、15日午後4時ごろ、台湾の17県・市、668万戸で停電が発生した。混乱の責任をとって経済部の李世光部長（右から3人目）が辞任を表明し、受理された。