両岸両会による6月12日、「江・陳会談」の報告 その1
台湾の「財団法人海峡交流基金会(以下、海基会)」と中国大陸の「海峡両岸関係協会(以下、海協会)」は、6月12日に行われた両岸の週末チャーター便の運行ならびに中国大陸からの旅行客による台湾観光開放の2項目の協議が合意を得たことにより、翌13日午前9時、北京の釣魚台賓館において、海基会の江丙坤・董事長(理事長)と海協会の陳雲林・会長により署名が行われた。
6月18日、行政院大陸委員会(以下、陸委会)の頼幸媛・主任委員(閣僚級)ならびに海基会の江丙坤・董事長、海基会の高孔廉・副董事長兼秘書長は、立法院の内政委員会に出席し、同委員会において陸委会の頼主任委員が「6月12日、両岸の江・陳会談の状況」についての報告を行った。以下はその内容である。
○ ○ ○
1.今回の協議の計画、経過
これまで両岸において「中国大陸からの旅行客による台湾観光」および「旅客便のチャーター便運行」については、何度もの技術的な協議が行われ、良好な基礎が確立している。2008年4月より、台湾側は、「現実を直視し、未来を切り開き、争議を棚上げし、ウィンウィンを追求する」の方針を打ち出し、両岸がすみやかに協議を発展させるよう提案し、中国大陸側から直接的な回答を得られた。
両岸のチャーター便運行および中国大陸からの旅行客による台湾観光の推進は、新政府が両岸における経済・貿易関係の正常化を促すことに尽力するという最優先の政策目標である。今年5月20日、馬英九総統は就任演説の中でも、両岸は現在の得がたい歴史的チャンスを捉え、早期の協議再開をすべきであると呼びかけた。
5月26日、海基会はトップの人事異動を行い、江丙坤氏が董事長に就任し、高孔廉氏が副董事長兼秘書長に就任した。当日、陸委会は、海基会が中国大陸側の海協会と、両岸のチャーター便運行および中国大陸からの旅行客による台湾観光の議題について協議を行うことを正式に全権委任した。海基会は、書信や電報による海協会との意思疎通および、双方による集中的、何度もの事前の協議と連絡を経て、6月11日~同14日、両会の董事長と会長が、北京で会談ならびに両項目の議題について協議を行うことを確定した。
10数年にわたる政府の両岸の両会における協議の運用プログラムに基づき、協議前、協議後、陸委会はいずれも立法院のこの内政委員会に対し、関連する説明を行ってきた。6月4日、立法院内政委員会の要請により、私(頼主任委員)は、海基会の高秘書長および関係者を伴い、同委員会に対し「いかにして週末チャーター便の運行実施、中国大陸からの旅行客による台湾観光を拡大し人民元の両替を行うか」について報告を行った。
2.両岸協議の重要な日程
政府からの全権委任を受け、海基会は協議代表団(同代表団のメンバーには、海基会の関係者のほか、交通部、陸委会、内政部の政府関係者が含まれる)を組織し、江董事長を団長とする訪問団は、6月11日~同14日、北京を訪問し、海協会の陳会長と「江・陳会談」を行ったほか、両岸のチャーター便と中国大陸からの旅行客による台湾観光といった議題について協議、署名を行った。重要な日程は以下の通り:
一、6月12日午前、海基会の江董事長と中国大陸側の海協会の陳会長は「江・陳会談」を行い、会談後、それぞれプレスリリースを発表した。
二、6月12日午前および午後、両岸の両会はそれぞれ、両岸のチャーター便運行と観光の議題について、組ごとに分かれて協議し、両項目の協議における最終本文を確定した。
三、6月12日夜、台湾からの代表団のメンバーは、新任の中国国務院台湾事務弁公室、王毅・主任と会見した。
四、6月13日午前、江董事長と陳会長は協議に署名し、それぞれ記者会見を行った。
五、6月13日午後、江董事長を代表とする代表団のメンバーの一部は、胡錦濤・中国共産党総書記と会見した。
3.今回の会談で達成した成果
一、週末チャーター便の運行および観光の両項目の協議ならびに署名を達成
両項目の議題はこれまですでに、一定の基礎が築かれており、今回の協議の中では、関連する内容の確定を終了させた。政府において、協議の本文を確認後、両岸条例に基づき、海基会が中国大陸側の海協会と、「海峡両岸における週末チャーター便運行会談の概要」および「海峡両岸における中国大陸からの旅行客による台湾観光に関する協議」に署名する職権を委任した。両項目の協議内容は、両岸条例に基づき、陸委会から行政院に報告して承認後、立法院の審査へと送られることになる。双方の協議に基づき、7月4日に協議内容は実施される。
二、両岸の両会における今後の協議、交流、協力の方向を確立
両会は6月12日、「江・陳会談」を行い、江董事長と陳会長はそれぞれの立場について意見陳述を行うと共に、関連する議題について意見交換を行い、それにより、両会の交流に役立ち、両会の後続協議のための準備を行った。関連する状況は以下の通り:
(一)両会の後続協議の議題については、コンセンサスを得ており、双方は両岸における貨物チャーター便の運行および週末チャーター便の増発、使用空港数の増加、新しい航空路線確立といった議題を早急に処理し、後続協議を通して実行に移していくようにする。また、台湾側も、海運の直航便、両岸海域におけるガス田の共同調査、両岸の犯罪取り締まりに関する協力、小三通における人と通貨の往来拡大の件、両岸の気候変動と気象研究の交流と協力の推進などを含めた、年内に協議を希望する議題を提出した。双方は早期協議の議題をすみやかに計画し、手続きを行うことに同意した。
(二)両会の各レベルの関係者間による対話と交流を強化させる。両会は緊急の事故による連絡者および連絡方法を指定することに同意した。さらに、双方は、トップレベル間の連絡システムの確立にも同意し、両会は積極的に両岸業務の主管部門の関係者による相互訪問を積極的に促進すべきであるとし、海協会の陳会長の年内の台湾訪問を要請した。
【行政院大陸委員会 2008年6月18日】