楊永明・台湾大学教授が「中曽根康弘賞」を受賞

　国家安全会議諮問委員であり、国立台湾大学政治学部の教授である楊永明氏は、「財団法人世界平和研究所（ＩＩＰＳ）」による「第４回中曽根康弘賞」の奨励賞を受賞し、６月２７日、同賞の授賞式が東京都内のホテルで開催され、楊教授は中曽根康弘元首相から賞状を授与された。
　
　今回、台湾から初の受賞となった楊教授の授賞理由について、同賞の審査委員は「楊教授は、長年にわたり国際法、国際安全保障の研究を重ねてこられ、また、台湾の安全保障問題についてのホームページも開設され、台湾、中国、米国、日本などの関係を客観的、冷静に分析し、台湾の研究者からの信頼を得たのみならず、中国の関係する研究者からの信頼も大いに獲得し、台湾海峡の平和と安定の一助にもなっている」と評価した。
　
　楊教授は授賞式のあいさつの中で日本語と英語を用いて、「私のホームページは１２年前に開設したものであり、当時はちょうど中国のミサイル演習が実施され、台湾海峡危機の時であり、台湾で初めての総統直接選挙が行われた時でもあり、私は主に学術的な研究を通して、世界にこの情報を発信したいと希望したのだ」と当時を回顧した。
　
　楊教授はさらに「私は本来研究者であり、５月２０日に馬英九総統の就任後、国家安全会議の諮問委員になった。馬総統はきわめて台日関係を重視しており、これに貢献できることを希望しており、私も台日は多くの価値観の上で同盟関係にあり、良きパートナーであると認識している。また、両岸関係の改善については、現在、経済を中心としており、馬総統は『統一せず、独立せず、武力行使を許さず』の３つのノー政策を強調しており、これは主として地域の安定維持を希望したものである」と述べた。
　
　授賞式後、楊教授は記者からの「両岸関係」と「台日関係」についての質問に対し、「この２つの関係は『二者択一の関係』ではない。８０年代には、日本は中国と往来しながら一方で日米同盟関係の維持を行ったが、今もそれを推進している。現在、東京と北京で東シナ海ガス田問題について意思疎通があったように、両岸関係の進展は地域の平和と繁栄に役立つものである」との考えを示した。
　
　楊教授は続けて「馬総統は、２年前および昨年日本を訪問した時『知日派になる』と述べ、最近ではさらに『友日派になりたい』と述べ、経済およびその他の面での交流を強化することを希望している」と強調した。

　また、６月１０日に台湾の遊漁船が釣魚台（日本名：尖閣諸島）海域で日本の巡視船に接触し沈没した事件については、「台日間はますます高いコンセンサスを持つこととなり、この件は、直接的な発展をしていくであろう。事件の処理は現在まで円満になされており、それは一つの収束であるとともに、一つの始まりあるいは一つの転機でもあろう。政府はすでに『釣魚台専案小組（釣魚台問題小委員会）』と『漁権協商小組（漁業権協議小委員会）』を組織した」と説明した。

《２００８年６月３０日》

写真提供：中央社

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