馬英九総統が池田維・日本交流協会代表と会見
馬英九総統は7月9日に総統府で、7月10日に任期を終えて離任する池田維・日本交流協会台北事務所代表と会見した。馬総統は、池田代表の任期中に台日両国の実質的な友好関係を促進した努力と貢献に対して感謝の意を述べ、今後も台日両国の関係を促進させていく意欲を示した。
馬総統は「池田代表は日本外務省に長く務めた経験豊かな外交官であり、著名な中国問題専門家でもある。退職後に駐台代表に転任し、今まで3年あまりの任期中に、台日両国旅行者のノービザ、台湾チャーター便の日本各都市乗り入れ、台日両国の運転免許相互承認等の措置を積極的に推進し、台日関係の進展に卓越した貢献があった」と池田代表の功績を称えた。
さらに馬総統は「台日双方のノービザ措置は最も目に見える効果が表れており、両国の往来人数は最高を記録した。昨年、台湾から日本への観光・ビジネス旅行者は132万人に達し、日本を訪問する人数は韓国に次いで多かった。さらに台湾への一年間の入国旅行客の総人数は300万人あまりであるが、日本からの観光客がその3分の1を占めて第一位となり、昨年は約116万人が台湾を訪問した。このことからも、日本人観光客はわが国にとってきわめて重要なお客様であり、双方の友好的な往来の豊かな成果でもある」と述べ、さらに馬総統は「池田代表は中国語が流暢であり、両岸と台湾の外交業務を熟知し、駐台任期中はわが政府や民間の人々と密接な関係を築き、台日双方の対話チャンネルおよび厚い友情関係を構築した」と評価した。
先日釣魚台(日本名:尖閣諸島)沖で発生した「聯合号」事件の処理に関して、馬総統は「池田代表の心情は理解できる」としたうえで、「池田代表は日本の経験豊かな外交官であり、『聯合号』事件の処理の過程において、常にわが外交部と十分な協力関係と信頼関係を保ち、最速で事件の進展を掌握し、自ら効果的な解決方法を提案した。池田代表は外務省で勤めた長年の豊かな経験があり、日本政府上層部とのスムーズな意思疎通チャンネルを構築していたことから、台日双方の政府が早くから平和的に冷静に処理する方針が確立され、台日関係に影響を与えることがなかった」との認識を示した。
馬総統は「『聯合号』事件の処理過程には起伏もあったが、最終的には円満に落着した」と述べ、池田代表の事件解決への取り組みを評価した。
そのうえで馬総統は「『聯合号』事件への処理は容易ではなかった。特に衝突された漁船が沈没したため、どのように被害者の理解を得るかは、さらに難題であった。しかし、日本側が素早くわが方の乗員を釈放し、謝罪と賠償の意思を表明したことからも、台日双方のこの事件についての意思疎通や協力は十分円滑であったと言える」と強調した。さらに馬総統は「日本の高村正彦外相が6月下旬にフジテレビの番組の中でわが政府の『聯合号』事件の処理方法を評価した」と指摘し、台湾側も日本政府に双方の友好関係を維持する意思を伝達したことを強調した。
馬総統は「『聯合号』事件が発生したときは新政権が発足したばかりであり、池田代表がまもなく離任して日本へ帰国する際に、もし適切に処理できなかった場合、その後の双方の関係の発展に不利な影響をもたらしかねず、事件発生当初は確かに危機であった。幸い双方が細心の注意を払い、冷静に処理したことで危機は転機となり、双方はお互いの友好と善意に対してさらに自信が持てるようになった。この事件が終始、友好関係を維持するという理念の下で処理が行われたことに、私は深く満足しており、双方がいずれもこの件の処理に満足したものと信じている」と事件の処理を振り返った。
馬総統は「『聯合号』事件が発生した根源については、漁業権交渉等、台日間でさらに協議して処理する必要がある」と述べたうえで、「双方の主権に対する見解は異なるが、知恵を出し合うことで、問題を拡大してお互いの関係を損なうようなことがないよう、多くの人々が受け入れられる解決方案を必ず見つけ出せると信じている」と強調した。
最後に、馬総統は池田代表の任期中の台日関係に対する努力と貢献に改めて感謝の意を示し、池田代表が日本に帰国後も日本各界に政府の台日関係強化への固い意志を伝えてもらえるよう期待を示した。さらに馬総統は「知日派、友日派」となって引き続き良好な台日関係を進展させたいとの考えを示した。
【総統府 2008年7月10日】