馬英九総統が日本中華聯合総会一行と会見、台日関係の重要性を強調
馬英九総統は7月24日、総統府で日本中華聯合総会帰国訪問団一行と会見した。馬総統は、「日本中華聯合総会は日本におけるわが国の僑界で最大の僑胞団体であり、各主要都市に支部が置かれている。設立以来62年間、積極的にその影響力を発揮して、僑界交流を推進してきた。私が2度にわたって日本を訪問した際も、僑界の団結、調和、潜在力を感じ、深く敬服した」と語り、日本における僑界で長年にわたって台日実質友好関係を促進したことに対する貢献と努力に感謝の意を示した。
馬総統は「私が3月22日に当選し、5月20日に就任して以来、東アジア地域は新たな情勢の展開がはじまっている。最も重要な意義は、わが方と中国大陸および近隣国家との関係において、同時に改善を望んでいることである。台湾は東アジアの新しい局面を切り開く条件や能力を備えており、両岸の平和と繁栄の目標の達成は周辺国家にとっても好ましいことであると信じている。わが方の願いは自己が『ピースメーカー』になることであり、中華民国の憲法の枠組みの下での現状を一方的に変更することはない。これは私が就任演説の中で特に強調した『統一しない、独立しない、武力を用いない』であり、私の任期中は対岸と『統一』問題を話し合わず、法的台湾独立を支持せず、武力による両岸問題の解決に反対するという理念なのである」と新政府のポリシーを説明した。
馬総統は「このような認識の下、新政府は就任後に『台湾を深く耕し、世界とつながる』という構想を展開している。中国大陸との関係を改善し、両岸旅客週末直航便および大陸住民の台湾観光開放を推進すると同時に、わが方は日本との関係を改善することも引き続き進めている」と述べ、最近の対日関係について馬総統は「6月に敏感かつ困難な『聯合号』遊漁船事件が起こったが、わが方は国家の尊厳と釣魚台(日本名:尖閣諸島)に対する主権の立場を堅持すると同時に、平和的に、冷静な方法で双方の争議の解決をはかった。特に6月15日、16日にわが方の漁船と海岸巡防署の9隻の艦船が釣魚台の海域に入り、日本海上保安庁の巡視船と対峙したが、衝突が高まることはなかった。わが船隊が帰国後、政府は最大の努力をもって双方の上層部との連絡を通じて、日本海上保安庁はわが方漁船船長に対しておわびと賠償に同意し、この事件がスムーズに解決したことは、わが方の外交、海巡、国家安全部門等の準備が十分であったことを示している」との認識を示した。
さらに馬総統は「同事件発生後、日本の高村正彦外相がテレビ番組のインタビューで台湾政府の適正な処理を評価したことも、大変貴重なことであった。遊漁船事件後も台日関係が損なわれなかっただけでなく、逆に双方がお互いの友情をより大切に思うようになったことは、十分に得がたい成果であった」と強調した。
馬総統は日本政界との関係について、「私は『知日派』になりたい、さらには『友日派』になりたいと願っており、日本との関係改善の意欲を伝えたい。日本の政界は近年、中国大陸との関係改善を続けており、双方の指導者による相互訪問回数が増えていることは、十分好ましい現象であり、各界からの期待を受けて進展したものでもある。最近、日本を訪問したとき、当時国会議員だった福田首相と会見し、会話を通じて日本の政治家の東アジア情勢の見方をより深く理解したのは、実はその立場がわが方ときわめて近いことだった。当時、私は福田先生にわが方の対中国大陸との関係改善の目標、戦略、ステップを説明し、日本側に安心してもらえるよう期待した。これも私が総統選挙期間にすでに計画を立てた政策方向として定まっていたものである」と語った。
また、馬総統は日米中とのバランスについて、「米国は前世紀に中国大陸と国交を結ぶ際に、20世紀前半は太平洋戦争のために、20世紀後半は中共(中国共産党)を囲い込むために、米国は中国と日本と同時に友好関係を持つことができなかったと嘆いた。1980年代になってようやく改善が見られ、7代にわたる米大統領はいずれも対台と対中の関係を同様に維持している。同じように、わが方が現在採る方法は、米日が同時に台湾海峡両岸と友好関係を維持することを望むものであり、これはお互いに有利なことであると信じている。これは各国が過去に非常に期待したが、達成できなかった事である」と述べた。
対中関係の改善と国防について、馬総統は「私は台日関係に力を入れ、中国大陸および日本の関係がいずれも改善できるようにしたい。但し、わが国の外交関係と国防安全を傷つけるようなことはしない。わが国の国防安全は必ず万全の準備が必要である。今後、わが方が中国大陸と数多くの安全保障問題に直接関わらない経済や文化に関する交渉を行う。しかし、もし中国大陸と平和協議に関するテーマを話し合うとなれば、わが方は必ず格別に慎重にならざるをえない。なぜなら、国家の安全は自己の力量で行うべきものであり、独りよがりの幻想を抱くことはできないからである」との認識を示した。
このほか、台湾の新たな経済政策に関して馬総統は、「政府による管理が厳しいほど、資金は早く逃げる。過去の管理措置は簡単に言えば『大陸に対しては無効、台湾に対しては有害』であった。これらの不便な規制によって、過去8年間で台湾から流出した資金は5兆元(約17兆円)に達した。政府の今後の目標は、台湾が『台湾企業の経営センター、外国企業のアジア太平洋経営センター』となることを希望している。これには規制の緩和や解禁だけでなく、所得税税率や税制の再検討が必要であり、台湾が韓国、香港、シンガポールと対等に競争し、資金還流を吸収することは容易なことではない。しかし、一歩一歩確実に実行し、目標を達成し、欧州企業や日本企業等の外資が長年にわたって期待してきた台湾の開放措置を実現させる必要がある。特にわれわれはシンガポールやアイルランドの発展の経験からわかるように、台湾にとって唯一であり最高の方法はすなわち『開放』なのである。台湾400年の発展の歴史から見ると、開放していた時代はいずれも台湾が勃興したときであり、鎖国していた時代はいずれも衰退していたときだったことは、みな歴史の鑑となるものである」との考えを語った。
【総統府 2008年7月24日】
写真提供:中央社