外交部:中華民国の200海里超過の大陸棚延長について
中華民国は1958年、ジュネーブにおける「大陸棚に関する条約」の締結国であり、大陸棚については国際法による主権的権利がある。1958年の同条約の原則内容は、1982年の「国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約、以下、条約)」の関連条項の中に盛り込まれた。また、慣習国際法においても、沿岸国には大陸棚の調査測量およびその自然資源開発の主権的権利を有すると認めている。わが国政府は長年にわたり、この基本原則を支持してきており、実際においても、1998年1月21日に「中華民国専属経済海域及大陸礁層法(中華民国の排他的経済水域[EEZ]および大陸棚法)を公布すると共に、その第2条において、中華民国の大陸棚はその陸地の領土に基づき、200海里を超えて自然に延びている区域外側の限界までの海底区域であると明文規定した。
中華民国政府は再度表明するが、歴史的、地理的、国際法のいずれから見ても、釣魚台列嶼(日本名:尖閣諸島)、南沙諸島、西沙諸島、中沙諸島、東沙諸島およびその周辺水域は中華民国固有の領土および水域であり、その主権が中華民国に属することは疑う余地がない。中華民国は上述の各島嶼およびその周辺水域、海底、下層土に対し、国際法により付与された所有権を有するものであり、いかなる国家がいかなる理由または方法で主張または占拠しようが、これは法律上いずれも無効である。
沿岸国として中華民国政府は、2006年より「条約」の第76条および「第陸棚限界委員会 科学的・技術的ガイドライン」の要求に基づき、200海里の大陸棚を超えて延びている区域外側の限界線を主張するのに必要とする、科学関連の証明資料の調査および準備活動を積極的に行ってきた。
わが国政府が現在までの調査により得た資料では、わが国は台湾東部の200海里の大陸棚を超過した外側の限界および、東北側に向かい東シナ海に沿った200海里の大陸棚を超過した外側の限界は、大陸棚延長設定の根拠となることが明らかであり、科学関連の証明資料を用いてこれを証明できるものである。わが国の「台湾東部海域」「東シナ海海域」の大陸棚が領海基線より200海里を超え自然に延長している範囲においては、その一部が隣国の主張する大陸棚と重なっている。
わが国政府は、法律、政策、科学、技術などに関する専門家を招集し、200海里の大陸棚超過の限界線引き準備の実務に力を入れている。わが国は「条約」の協議ならびに締結への参加に招かれなかったため、この「条約」加盟の締結国になれなかった。そのため、わが国は「条約」締結国の会議による第72号決議(SPLOS/72)および第183号決議(SPLOS/183)の拘束を受けず、わが国の200海里超過の大陸棚延長に対する主張についても、2009年5月12日までの主張期限の制限を受けないのである。同期限の後にも、わが国は東シナ海、台湾東部海域、南シナ海海域の各200海里超過の大陸棚外側の限界に対し主張する権利を引き続き保有するものである。
「条約」の第76条第10項には、本条約の規定は海を隔てた対峙国または近隣国間の大陸棚線引き問題を妨害しないと規定している。わが国は周辺海域および隣国との線引きについては、まだ協議が行われていないため、わが国は隣国間との海域線引き問題の解決には、国際法を遵守し、平等の原則に基づき、それにより協議して境界線を定めるものである。協議達成前には、わが国政府は地域内の関連各国が、地域の海洋法の秩序を守る立場に基づき、共同で地域の平和、安定的発展を維持すると共に、「共同開発、資源の共同享受」の原則の下で、実務的に地域内の良好な相互連動関係を増進することを願うものである。
【外交部 2009年5月12日】