フィリピン駐台代表、新南向政策の成果を高く評価
フィリピン政府の対台湾窓口機関であるマニラ経済文化弁事処(MECO)の理事主席と駐台代表(大使に相当)を兼務するAngelito Tan Banayo氏は台湾メディアの取材に対し、フィリピンは台湾が展開する新南向政策を非常に歓迎していると述べた。新南向政策とは東南アジア、南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなど18ヶ国との関係強化を目指す台湾の重点政策の一つ。
Banayo代表によると、新南向政策はフィリピンを含む多くの経済体にとって、台湾との経済方面における協力の機会を切り開くもの。例えば今年9月、フィリピン南部ミンダナオ島のダバオで農業博覧会が開催されるが、台湾の農業機械メーカーが多数出展することになっている。ミンダナオ島はフィリピンにおける農業の拠点でもある。
農業協力分野においては、フィリピンと台湾は現在、フィリピンに農業モデルエリアを設置することを計画している。作付けする作物は野菜か果物になる見込み。台湾が技術供与に協力し、地元の農家にモデルエリア内で高価値の作物を栽培させ、収穫した作物を台湾に輸出したり、あるいはフィリピンの国内市場で販売したりする。
ある政府関係筋も記者の取材に対し、台湾は今後、インドネシアとの協力モデルにならい、フィリピンとも農業モデルエリアの設置により、相互に便宜を図り、利益を獲得することを目指す考えだと明らかにしている。
Banayo代表もこの農業モデルエリアについて、台湾の農業技術の導入でフィリピンの農作物の品質を向上させると共に、台湾の農業経営管理の経験を学ぶことで、フィリピンの農民の収入向上に結び付けられるのではないかと期待を寄せている。
医療分野では、フィリピンと台湾の衛生当局、それに台湾東部・花蓮県にある仏教慈済総合医院が、フィリピンの医療機関で協力事業を展開することを計画している。台湾で展開する全民健康保険(国民皆保険制度)の経験を共有し、ハイエンドの医療ケアトレーニングを提供することが狙い。
教育分野では、フィリピンサイエンスハイスクール(PSHS)で中国語の授業を行うことになっている。台湾から派遣された講師が授業をサポートする。Banayo代表は、これは非常に重要な協力プロジェクトであると考えており、中国語の教育を受けた生徒が卒業後に台湾へ留学し、科学分野やエンジニアリング分野の学科で学ぶことを期待している。Banayo代表はまた、シンガポール、米国、オーストラリアと比べると、台湾での留学費用や生活費は非常に合理的で、「フィリピンの学生にとってこれは素晴らしいチャンスだ」と語っている。
台湾とフィリピンは昨年、投資保障協定に調印した。2016年、台湾からの対フィリピン投資総額は3,282万米ドルに達した。これはフィリピンにとって、12番目に大きな投資元であった。しかし2017年、対フィリピン投資を行う外資のうち、台湾の投資規模は2番目に達した。その投資額は約2.1億米ドルで、日本の約6.3億米ドルに次ぐ多さだった。
Banayo代表は、新南向政策は推進から約2年がたち、その成果が徐々に表れていると指摘。「現在のところ、新南向政策の枠組みの下、私たちの協力は非常に順調に進んでいる」と高く評価している。
Taiwan Today:2018年8月6日
写真提供:中央社
フィリピン政府の対台湾窓口機関であるマニラ経済文化弁事処(MECO)の理事主席と駐台代表(大使に相当)を兼務するAngelito Tan Banayo氏は台湾メディアの取材に対し、「現在のところ、新南向政策の枠組みの下、私たちの協力は非常に順調に進んでいる」と高く評価した。
