蘭嶼で流された木船、日本の宮崎県に流れ着く

　今年6月9日、台湾南東部・台東県に所属する離島の蘭嶼の沖合で転覆し、流された木船「緑舟」が、40日後に日本の宮崎県都井岬付近の沖合で発見された。蘭嶼に住む林正文さんは6年前から海洋ゴミや廃油汚染の問題を憂慮するようになり、回収したペットボトルなどで小屋を作るなど、環境問題に取り組んできた。2016年9月、香港から遊びにきたドラゴンボート職人の胡梓康さんが林さんの理念に共感。寄付を募ってドラゴンボートを作り、台湾本島から蘭嶼まで渡ることで、蘭嶼の環境保護を喚起する計画を立てた。こうして完成させた22人乗りのドラゴンボート「緑舟」。

　計画では6月9日に台湾最南端・屏東県を出発し、黒潮に乗って蘭嶼に到着するはずだった。しかし、蘭嶼近くまで到達したところで転覆。舟は北上する黒潮に流されてしまった。その「緑舟」が40日後、宮崎県都井岬で発見されたのだ。林さんは「緑舟」が海洋ゴミとならなかったことにほっと胸をなでおろしている。台湾と日本の間では近年、古代人類の日本渡来ルートの一つとして、台湾から黒潮が流れる海を渡って沖縄列島へ到達する航路の研究が進められている。「緑舟」が日本の沖合に流れついたことは、この航路が確かに存在することを再度証明したことになる。

Taiwan Today：２０１９年７月２３日

写真提供：海洋委員会海巡署提供、中央社