楊進添・外交部長:日本による釣魚台列島(尖閣諸島)国有化に厳正なる抗議表明
9月11日に日本政府は釣魚台列島(日本名;尖閣諸島)の「国有化」を正式決定した。これに対し、楊進添・外交部長(外相)は同日午前、外交部において記者会見を開いた。以下はその要旨である。
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日本の内閣は、釣魚台列島(日本名:尖閣諸島)の釣魚台、北小島、南小島3島の「国有化」を正式に決定した。これに対し、私は本日、樽井澄夫・日本駐華代表を外交部に呼び、中華民国の厳正なる立場を表明した。
一、日本政府は歴史的事実と国際法の規範を無視し、釣魚台列島の中の3島の国有化に固執し実行した。この行為は、中華民国の領土主権を深刻に侵害し、台日間の長きにわたる協力関係を損なうものであり、東アジア地域の緊張情勢を激化させ、わが国国民の日本に対する友好の感情をも傷つけるものである。
二、日本が中華民国の領土主権を深刻に侵害した行為に対し、私は中華民国政府および国民を代表し、日本に対し、厳正なる抗議を表明するものである。日本のやり方について、わが国は断じて受け入れることはできず、承認することもできない。日本政府はただちにこの決定を撤回すべきである。
三、日本によるこの一方的な非合法的措置は、中華民国が釣魚台列島の領有権を有する事実を何ら変えることはできず、これらの行為によりもたらされる一切の結果は、日本が全責任を自ら負うべきである。
四、釣魚台列島は中華民国固有の領土であり、台湾の付属島嶼であり、この行政区域は宜蘭県頭城鎮大渓里に属することを重ねて表明するものである。歴史上、地理上、地質上、使用状況さらに国際法上の観点いずれにおいても、中華民国が釣魚台列島の領有権を有している事実は疑う余地はない。日本政府は、清朝末期における甲午戦争(日本名:日清戦争)の勝利に乗じ、釣魚台列島を併合したことは、国際法に反する侵略行為である。さらには、日本の当時の不法占拠行為については、天皇が発布する勅令により、世界に宣言する手続きに基づいたものではなく、外部に知らされることはなかった。このような行為は、「略奪的な占拠」行為であり、国際法上は、「最初から無効」である。釣魚台列島の「国有化」の非合法的行為を含め、日本政府がわが国の釣魚台列島の領有権を侵害するいかなる言動に対しても、わが国は一切承認するものではなく、厳正且つ厳しく指摘し、責任を追及するものである。
五、日本が釣魚台列島の領有権問題は存在しないと繰り返し述べ、一方的な非合法的行為を採っており、日本の立場はこの問題を真に解決するのは、もとより不可能であり、解決の助けにもならず、かえって地域の緊張情勢を高めるところとしている。日本は釣魚台列島に領有権の争議が存在していることの事実を直視し、釣魚台列島に対し異なった主張が争議を引き起こしていることを認識すべきである。
六、わが国が提起した「東シナ海平和イニシアチブ」の目的は、関係各国が自制し、争議を棚上げして、平和的方法で争議に対処すると共に、コンセンサスを求め、東シナ海の行動規範とメカニズムを明確に定め、東シナ海の資源を共同開発し、東シナ海の平和を確保しようとするものである。
七、中華民国の国家主権および領土の一体性については一切妥協できるものではなく、民族の尊厳および国民の福祉に対する侵犯は容認できない。日本政府が台日友好関係を損なうこと、ならびに東シナ海の緊張を高める行為を即時に停止し、釣魚台列島における争議の存在することを直視し、中華民国政府がこの4年あまりの間、築き上げてきた台日間の特別なパートナーシップを大切にし、わが国政府が提起した「東シナ海平和イニシアチブ」に応え、関係各国が共に争議を棚上げし、理性的且つ平和的な対話を通して地域の平和を維持し、共同で東シナ海の資源を開発していくことをあらためて厳正に要求するものである。
樽井代表は談話の中で、私の上述の談話内容を日本政府にそのまま伝えることを承諾した。また同時に、日本政府の基本的立場について、「日本政府が釣魚台列島の国有化する主な目的は、釣魚台問題を安定的に管理しようとするところにある」と言及した。さらに、「日本は台湾との友好協力関係を重視しており、この関係が釣魚台列島の問題により影響を受けないことを希望している。馬英九総統が提起した『東シナ海平和イニシアチブ』についても、積極的且つプラスの意義があることを認識している。双方が資源を共に分かち合うことについて、前向きに対処していくことは賛成である」と述べた。
私が特に言及したいのは、中華民国政府が提起した「東シナ海平和イニシアチブ」について、日本が示した見解に対し歓迎の意を示すものであり、我々も樽井代表が主張した、漁業交渉により漁業権問題の解決を図ることに同意見であるが、日本はより多くの善意を示すべきだという点である。過去16回における漁業交渉の中で、わが国はその善意を感じとることはできなかった。我々は、中華民国は民主主義の国家であり、政府は国民の福祉を保護する責任があると認識している。そのため、今後の交渉の中で、双方は釣魚台列島が中華民国の領海に位置し、わが国の漁民の伝統的な漁場であることを直視して、わが国の一切の権利に前向きに考慮し、応えるべきである。中華民国政府は、わが国の漁民による伝統的水域での漁獲作業を保護する義務があり、日本政府が釣魚台列島の問題に対処する際に、東シナ海地域の平和について全面的に考慮するよう希望している。また、私は沈斯淳・駐日代表に対し、わが国が本日樽井代表に表明した立場を沈・代表からも日本側に伝えるよう指示し、沈代表にできるだけ早く帰国し、釣魚台の問題について、わが国政府に最新の状況を説明するよう電報で指示した。
【外交部 2012年9月11日】
写真提供:中央社