WHO年次総会は今年も参加出来ず、事務局に書簡で抗議へ
世界保健機関(WHO)年次総会が18日、初のテレビ会議方式で開かれた。中華民国(台湾)は2017年以降、4年連続で招請されず、今年もオブザーバーの身分での参加を見送った。衛生福利部(日本の厚労省に類似)の陳時中部長(=大臣)と外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長は18日午後に記者会見を開催し、「台湾は最後の最後まで努力したが、WHOから招待状を受け取ることが出来なかった」として強い不満と遺憾を示した。陳時中部長は、WHO事務局に対して抗議文を送ることを明らかにした。
陳時中部長は記者会見で、「現在、WHOが最も関心を寄せている議題は新型コロナウイルス(COVID-19)であるはずだ。(新型コロナウイルスの封じ込めに成功した)台湾モデルは、世界と共有する価値のあるものだが、年次総会で他国と情報を共有する機会が得られなかった。これはWHOにとって損失である。そして、他国の経験を吸収することができないことは、台湾にとっても不利なことだ。WHOには政治的干渉を排除するよう呼びかけたい。いかなる国や地域も取り残されるべきではない」と訴えた。
呉釗燮部長は、「WHOは中国政府の圧力に屈し、台湾に住む2,300万人の住民の健康権を引き続き無視した」とし、深い遺憾の意と強い不満を表明した。また、今年のWHO年次総会は新型コロナウイルスの影響を受けて開催期間が2日に短縮され、その多くの時間を新型コロナウイルス関連の議論に割くことになっている。呉釗燮部長は、このため中華民国(台湾)の国交樹立国や近い理念を持つ国々がWHOの実務会議再開後に改めて、台湾のWHO参加を追加議題項目として採択するようWHOに提案することを明らかにした。
呉釗燮部長はさらに、「『Taiwan can help, and Taiwan is helping.』のスローガンを実践に移すべく、政府はこれまで国内の医療機関と協力し、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した「台湾モデル」の経験を、テレビ会議方式で諸外国と共有してきた。また、国内の需要を満たすことを優先した上で、必要としている国々に対して自発的に防疫物資を提供してきた。これまで諸外国に無償提供したサージカルマスクは合計2,750万枚、サーモグラフィーは131台、額式体温計は3.5万本、非接触体温測定システムは250組に達する」と説明した。
呉釗燮部長はその上で、今後も国際人道支援の第四弾を継続することを明らかにした。内訳はサージカルマスク約2,350万枚、N95マスク116万枚、防護服17万枚、隔離服60万枚、呼吸器80台、PCR装置34台、キニーネ50万錠となる。呉釗燮部長は「全世界が一丸となって新型コロナウイルスに対抗できるよう協力する」と述べた。
呉釗燮部長は最後に、WHO事務局は国際社会の理性的な呼び掛けに耳を傾け、その専門性と中立性を守り、中国政府の政治的干渉を排除すること、そして台湾をWHOのあらゆる会議、メカニズム、活動に参加させるべきだと訴えた。
Taiwan Today:2020年5月19日
写真提供:自由時報
世界保健機関(WHO)年次総会が18日、初のテレビ会議方式で開かれた。衛生福利部の陳時中部長(=大臣。左)と外交部の呉釗燮部長(右)は記者会見で、「台湾は最後の最後まで努力したが、WHOから招待状を受け取ることが出来なかった」として強い不満と遺憾を示した。