中華民国とソマリランド共和国が代表処の相互設置で合意
外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(外務大臣)が1日、中華民国政府を代表し、中華民国政府とソマリランド共和国(以下、ソマリランド)政府が公式な代表機構の相互設置で合意したことを発表した。両国は互いの友情、ならびに双方が自由・民主・公義・法治の価値を共有していることに基づき、「台湾代表処(Taiwan Representative Office)」と「索馬利蘭代表処(Somaliland Representative Office)」の名称で代表機構をそれぞれ開設する。台湾とソマリランドは互恵互助の精神を堅持し、漁業、農業、エネルギー、鉱業、衛生、教育、情報通信技術などの分野で協力していく。
呉外交部長が1日の記者会見で明らかにしたところによると、中華民国政府はアフリカ諸国との協力関係推進と東アフリカへの展開強化のためソマリランド政府と協議し、今年2月26日、呉外交部長と来台したソマリランドのH.E Yasin Hagi Mohamoud外相が「中華民国(台湾)政府とソマリランド政府双方議定書」に署名した。両国政府は、「台湾代表処(Taiwan Representative Office)」と「索馬利蘭代表処(Somaliland Representative Office)」の名称で代表機構を相互設置することで合意。蔡英文総統は、署名を終えた.E Yasin Hagi Mohamoud外相の表敬訪問を受けた。
呉外交部長によると、台湾の関係者は2月6日にはソマリランド入りし、現在は代表処設置の作業を進めているという。正式な運営をいつ始めるかは双方が話し合って決める。両国の代表処が正式に開設されれば漁業、農業、エネルギー、鉱業、衛生、教育、情報通信技術の分野で協力がスタートすることになり、呉外交部長は、両国政府の十分なサポートによって互恵互助の友好関係は間違いなく深まるだろうと期待した。
呉外交部長は、中華民国とソマリランドが2009年から徐々に良好な関係を築き、海事での安全強化、医療衛生面と教育面での提携などで協力してきたことを強調した。中華民国は財団法人国際合作発展基金会(ICDF)の「友好国家医療スタッフ訓練プロジェクト」でこれまでにソマリランドの医療人員23名の訓練を代行。現在もソマリランドの若い学生3名が台湾奨学金制度を通じて台湾で学位の取得に励んでいる。政府間の協力以外にも、台湾の路竹会(台湾路竹医療和平会)などNGO(非政府組織)が今年1月にはソマリランドで3回目となる無償診療活動を行った。これまでにソマリランドの10地区で無償診療を行っており、受診者は2,880名に上るという。
呉外交部長によれば、ソマリランド政府は「台湾モデル」での国際協力の精神を高く評価、協力関係の継続的な深化に期待すると共に台湾の成功経験を学びたいと考えている。中華民国は、ソマリランド政府が自由民主を追求する努力をサポートすると共に、能力の確立と国際合作発展基金会の協力メカニズムを通じて、ソマリランドにおいて人々を豊かにするための発展プロジェクトを推し進めていく。そしてさらに、「堅実外交」の原則を以って中華民国の友愛の精神を明確に示していくという。
ソマリランド共和国は東アフリカの突起した部分に位置する。人口は約390万人。豊富な漁業資源を有する世界でも重要な漁場。また、石油や天然ガスなど化石燃料の豊かな埋蔵量を誇り、国際的な石油会社の多くが進出して探査を行っている。ソマリランドは1991年に独立して以降、3度の大統領選挙が行われるなど政情も安定しており、中華民国(台湾)と近い自由民主の理念を持つ国である。
外交部は、「台湾は国際社会において厳しい境遇にあるが、我々がそれで萎縮することはない。我が国の政府は引き続き、理念の近い国々との実質的な関係強化に努め、世界の『善良なパワー』としての役割を果たしていく。同時に台湾モデルの協力精神を通じて全世界のパートナーと協力し、できる限り国際的な責任を果たすことで、よりよい世界の実現を目指す」としている。
Taiwan Today:2020年7月2日
写真提供:外交部提供、中央社
中華民国とソマリランド共和国が公式な代表機構の相互設置で合意、「台湾代表処」と「索馬利蘭代表処」の名称で代表機構をそれぞれ開設する。写真は今年2月26日、「中華民国政府とソマリランド政府双方議定書」を交わした呉釗燮外交部長(右)とソマリランドのH.E Yasin Hagi Mohamoud外相(左)。