台湾果物の市場拡大を 政府関連機関が共同プロモーション
7月22日、行政院で「台灣フルーツ販売促進説明記者会見」が行われ、呉釗燮・行政院大陸委員会(以下、陸委会)主任委員、李金龍・同農業委員会(以下、農委会)主任委員、葉明水・外貿協会副秘書長らが出席し、果物の輸出と販路拡大に対する方針などについて語った。同日は姚文智・新聞局長が司会を務め、出席者らは記者会見後、台湾産フルーツを手に、台湾果物のプロモーションに熱意を示した。
李金龍・農委会主任委員はこの席で「各国と比較して、現在台湾の農産品の中国向け輸出の金額はきわめて少なく、中国市場は台湾の市場のなかの一つに過ぎず、主要な市場ではない。その主な要因は、中国市場のメカニズムが完全に自由化されていないからだ」と語った。 李主委は「中国政府は、免税、通関の迅速化などに関し、一方的に台湾の果物輸入に対し各種の優遇措置を与えると表明している。だがこれらの措置は日本や米国などでは特に宣言されず、特別な規定も設けられずに同様の措置がとられている」と述べた。
また「中国市場に潜在力がありさえすれば、台湾はそれを開拓するが、すべての希望を中国に寄せるということはありえない。なぜなら過去の経験と将来の発展から見るに、中国は一市場に過ぎず、主要な市場ではないからだ」と述べ、「フルーツは草になる実と木になる実の二種類に分けられる。草になるフルーツのパイナップル、バナナなどは一年中収穫できるが、木のフルーツである梨やマンゴーなどは何年もかかってようやく実り、安定した生産量が見込めるようになる。農民が不安定な市場に期待を持ちすぎ、収穫した後に対岸の優遇措置が取り消されれば、その損失は最終的に政府が前面に出て解決しなければならない」と指摘した。さらに「台湾のフルーツは熱帯を産地とするものがほとんどであり、温帯の国で人気が高い。台湾との距離が近く、農業が盛んでなく消費の多い地域、例えば香港やシンガポールなど、中華系の消費者が多い地域は食べ物の好みも似通っているため、台湾にとって主要な市場と言える」と強調した。
李主任委員は、農産品の国際プロモーション強化策について「果物はこのうちの主要な産品であるが、ほかにも生花や水産品、畜産品などがある。プロモーション強化の主な目的は『潜在能力を開発し、購買力を強化し、市場の安定度を高める』ことである。日本を例として挙げると、日本は品質に対する要求が高く、価格は高く設定でき、また貿易摩擦が生じる可能性も少ない」と述べた。さらに「フルーツに関しては、保障された状況のもとで、どの市場に売るのかを農民が理解し、生産した商品を売る場所を確保することが政府の重視するポイントだ」と語った。
一方、呉釗燮・陸委会主任委員はこの席で「政府は台湾の農産品の中国向け輸出を承認しないというわけではなく、関連団体などが中国を訪問し農産品の販促を行うことに関してもこれを阻止したことはない」と強調し、農業従事者や一般の人々が、一部の故意な扇動に惑わされないよう注意を喚起した。 主委はまた「農産品の中国向け輸出に関しては、今年3月14日に中国政府が『反国家分裂法』を通過し、中国総理の温家宝が台湾の農民に協力し農産品の中国向け輸出を開始したい旨の申し入れをしてき
た。これは『反国家分裂法』と緊密に連動した手法であり、中国当局の政治的意図はわれわれが注意深く処理するに値する」と指摘した。さらに「中国が台湾の農産品輸入に関し処理している多くの対策は、彼らがみずから改善し撤廃すべき貿易上の障害である。しかしながら国内の一部の人々は中国側に立ち事実を捻じ曲げ、政府がそれを阻止しているかのような誤った印象を故意に作り出している。政府はこれに対し、事実を説明する必要がある」と指摘した。
呉主委は「中国政府が申し入れてきた関税引き下げや検疫、検査などの問題については、われわれの側で処理すべきであり、これは公権力に関わる問題であるため、政府はすでにこれらの問題について、中国側の海峡両岸経貿交流協会に対する台湾側の窓口として、外貿協会を指定した。両岸がこの窓口による交渉を基礎とし、政府の関係機関と中国政府がコンセンサスに達することができれば、問題はおきない」と語った。
呉主委はさらに「政府は台湾フルーツの中国に対する販促に関しなんら制限を設けておらず、この問題を政治化させるつもりもない。『反国家分裂法』が制定された3月14日以前に、政府はすでに台湾農産品の中国向け販促について多くのことを実行しており、いまだかつてこれを政治問題に発展させたことはない。農業問題が政治化されていると思われる原因は、まぎれもなく中国が『反国家分裂法』を通過したことだ」と述べた。
呉主委は、中国政府に対し「台湾の農産品をより迅速に、より効率よく輸入したいと考えるなら、両岸の間に窓口機関を設置し、関税や検疫、検査などについて協議すべきであり、台湾の外貿協会と中国の海貿会が直接協議をおこなうことこそが、真に局面を打開するカギであり、また真に台湾の農民に恩恵を与える方法である」と呼びかけた。
また、外貿協会の葉副秘書長は「外貿協会は果物の販売促進にあたっては、その競争力に見合った市場を選定する。中国は台湾で多く生産されるバナナやオレンジ、柳丁などについては関税の引き下げ項目に入れていない。中国がこれらにも関税引き下げを適用してこそ、台湾側のメリットとなる」と述べた。 葉副秘書長はまた「現在果物の中国向け輸出における大きな問題は、一般消費者がいわゆる台湾原産種のフルーツと台湾で生産されたフルーツとの区別がついていないことで、これが本場の台湾フルーツの商品イメージと販売に影響している。外貿協会では今後、台湾フルーツのブランドイメージ作りと販売ルートの強化により、台湾の果物と中国およびその他の地域の類似品に一線を画し、台湾フルーツの優良なイメージを確立すべきだ」と指摘した。
【行政院 2005年7月25日】