中国が示した台湾の１５品目の果物輸入に対するゼロ関税措置について

中国が示した台湾の１５品目の果物輸入に対するゼロ関税措置について
（行政院農業委員会)

　中国商務部スポークスマンは７月２８日、台湾からの果物輸入に関し、１５品目について、８月１日よりゼロ関税措置を実施すると発表した。中国が示した１５品目の果物は、パイナップル、ライチ、パパイヤ、スターフルーツ、マンゴー、グアバ、蓮霧（レンブ）、檳榔、サボン、棗、ココナッツ、枇杷、梅、桃、柿である。これを受けて行政院農業委員会は同日、政府の立場を示す以下のプレスリリースを発表した。

　１、農業委員会は今年の果物の生産量を昨年の２７０万トンより３３％少ない１８０万トンを見込んでいる。このため、国内の果物の生産は最盛期を迎えているとはいえ、ただちに収穫し販売しなければならない切迫した状況にはなく、売れ残りを懸念することもない。

　２、今年上半期における国内の果物の平均単価は１トンあたり２６．５元（約８０円）で、昨年同期より１３％値上がりしている。これは、今年３月の冷害と、６、７月の風水害の影響で、国内の果物の生産量が減少したため、価格の高騰を招いたものと思われる。

　３、今年、国内の果物の生産量は大幅な減産となる見込みだが、農業委員会では国際市場での販売ルートの開拓に積極的に努力しており、それにより今年上半期の「果物とその関連製品」の輸出量は昨年同期より２．４％増加し、輸出高も同１０％増、輸出単価も同７．６％増となっている。

　実際には、中国が発表した１５品目の果物のうち、パイナップル、パパイヤ、スターフルーツ、マンゴー、蓮霧（レンブ）など９品目は熱帯果物に属し、中国ではもともと生産量が少ないため、すでに東南アジア地域からそれらを輸入しており、台湾の果物の輸入解禁によるメリットは限られている。また、桃、枇杷、柿などの６品目の温帯果物とココナッツ、檳榔などの熱帯果物は国内の生産量が多くなく、なかには輸出の実績がないものもある。さらに、台湾の果物の輸出ベスト３であるバナナ、マンゴー、ライチは、国内の生鮮果物輸出高の６０％以上を占めているが、このうちバナナとライチは今回のゼロ関税の枠に含まれていない。このため、中国が示している優遇措置による台湾の農民の実質的な利益は、中国が宣伝しているほど大きくはない。

　中国は一方的に台湾の果物輸入に対しゼロ関税の優遇措置を示してきたが、検疫や通関の迅速化、原産地証明などの関連措置が整えば、台湾の果物の中国への輸出に役立つはずである。中国は台湾の果物輸入に対するゼロ関税措置の実施に対し、実施期間やその詳細についてまだ公告しておらず、今後中国
が協議を経ずに随時、一方的にこの優遇措置を取り消すことも考えられる。このため、われわれは外貿協会と中国が指定した機関との間で交渉し、ゼロ関税の実施期間や通関業務の迅速化措置などについて協議することを希望している。われわれは台湾の果物の中国への輸出に伴う貿易環境を透明化し、これによりわが国の農民の長期的な利益を保障したいと考えている。

【行政院農業委員会　２００５年７月２８日】