台湾新幹線の開業が来年１０月に延期

　日本の新幹線車両とシステムを導入し、今年１０月末に開業が予定されていた台湾高速鉄道（台湾新幹線）について、運営母体である台湾高速鉄路公司（以下、高鉄）は９月８日、工事や試運転など各種準備の遅れから、開業を一年延期し、来年１０月末とすることを発表した。

　台湾新幹線は、台北と高雄間（約３５０ｋｍ）を最短1時間３０分で結ぶもので、これにより台湾の南北が日帰り圏に発展するため、大きな期待が寄せられている。車両は日本の新幹線「のぞみ」をベースにした「Ｔ７００型」を導入し、機械電気システムは日本の台湾新幹線株式会社が請け負っている。

　高鉄の殷琪会長は同日、記者会見を行い、台湾新幹線の開業延期を宣言するとともに、運営責任者として新幹線に投資している株主と、国民に謝罪した。延期の理由について、殷琪会長は「工事の進捗率やシステムのテスト、運営準備など各方面を総合的に分析した結果だ」と説明した。高鉄によると、工事の進捗率は７月末現在、土木工事が１００％、駅舎建設が９２％、メンテナンス基地工事７６．１７％、機械電気システム工事が６０．４４％となっている。高鉄は「日本企業が請け負う機械電気システム工事が予定より３０％遅れており、これが車両の試運転や営業の準備作業に影響を及ぼした」と指摘した。

　開業が一年延期されたことに伴う建設コストは、もとの４６０７億元（約１兆３８００億円）から１９３億元（約５８０億円）増えて４８００億元（約１兆４４００億円）となる見通しだ。

　開業予定が延期されたことに伴う引責辞任の可能性について、殷琪会長は「来年１０月の開業には決意と自信を持っており、今後も全力で高鉄を指導していく」と語った。また、日本の台湾新幹線株式会社に対しては「新たな開通計画において両者の間ですでにコンセンサスを得ている」と述べ、今後もパートナーとして協力し、新たな開通目標に向けて努力していきたい」と決意を示した。

　台湾新幹線の開業が１年延期されたことについて、行政院の卓栄泰スポークスマンは同日「高鉄から事前に謝長廷院長に報告があった。謝院長は高鉄に対し延期に必要な時間を厳密に割り出し合理的な範囲内とすることと、工事の品質をさらに高めることで国民の理解を得るよう求めた」と述べた。

《２００５年９月９日》