台湾米、日本への輸出拡大へ
台湾の農産物は、バナナをはじめ、マンゴー、パパイヤなど果物を中心に日本へ多く輸出されているが、最近では米も日本市場に出回っており、今後さらに輸出が増える見通しだ。
行政院農業委員会によると、台湾産米は昨年、花蓮県で生産されている富麗米が日本市場の開拓に成功し、126トンが輸出された。今年はさらに162トンが日本に輸出される計画で、年間を通じて300トンが見込まれている。日本へ輸出されている米は、日本の政府と民間の検疫機関が台湾に何度も足を運び、実地視察とサンプル調査を実施。129種類の農薬について残留検査を行ない合格したもので、台湾産米の安全性と品質がすでに証明されている。
日本市場には、今後富麗米以外に、台湾でおいしい米として評判の高い台東県の池上米や関山米も輸出される予定で、11月中にも108トンが日本へ輸出されることになっている。
こうしたなか、農業委員会農糧署の支援のもと、台湾と日本の企業が共同で台湾米ブランドを生産するビジネスモデルが誕生した。これは日本の株式会社中島美雄商店と台湾の聯発精米工場(聯發碾米工廠、 Lian-fa food industry Co., Ltd )が協力する「日本原種・台湾産・世界販売」という国際生産販売協力のビジネスモデルである。両社は今年10月3日に契約を締結し、台湾産米輸出の歴史に新たな一頁が記された。
この国境を越えた協力ビジネスモデルで販売される米は、日本の株式会社中島美雄商店が提供する「夢美人」(夢美人、 Dream Beauty rice )という品種で、聯発精米工場と稲作農家が台湾台南後壁地区で契約栽培し、白米に精米したものである。短期的には日本へ輸出し、将来的には北京・上海・香港・シンガポール・バンコクなど消費者の多いマーケットへ輸出する計画だ。2006 年2月から台南県後壁郷で30ヘクタールの広さで栽培が開始、6 月の初収穫後、100トンを「夢美人」として日本に送り、小パッケージの「台湾米」として販売する予定だ。中島美雄商店が構築した台湾米小売マーケティングネットワークを通じて販売する。これにより、日本の家庭の消費者に直接、ブランドとしての認識を浸透させ、新鮮で高品質の台湾米購入を促進することが狙いだ。
「夢美人」という品種は、中島美雄商店に所属する稲種開発研究所が作り出したもので、この品種の特徴は茎が太く、耐倒伏性・耐病性が高いこと、食味値が高く、精米率が高いことが上げられる。試作により台湾南部の気候・土壌・水質は夢美人栽培に非常に適していることが判明し、収穫された米が強い耐風性を持つこともわかった。なお、食味値とは、現在日本で広く利用される米の検査測定基準で、「食味計」という測量機器を使い、たんぱく質・アミロース・水分などを計って出すものである。たんぱく質・アミロースは測量値が低ければ低いほど味わいが深く、水分は14~ 15%が最適だといわれている。これら 3項目による「食味値」は高ければ高いほどおいしいとされる。
このたび締結された国際生産販売協力ビジネスモデルは、農業委員会農糧署と台南地区農業改良場が全面的に協力し、安全管理および関連生産技術などを提供する。これにより、収穫した米が来年6 月には確実に輸出される。台湾・日本の協力規模や稲の品種などは今後拡大していくと考えられ、台湾産米が日本の家庭に浸透し、さらに他国へも拡大していくことで、台湾の米が日本を始めとした世界各国の市場で安定した地位を得ることは確実である。
《2005年11月8日》