「全民経済発展会議」で１０項目の経済再生策が提示

財団法人群策会が主催する「全民経済発展会議」が３月１８、１９日、台北市内で行われ、中国投資の上限額設定など今後の経済再生への具体策を盛り込んだ「経済発展政策提言書」がまとめられた。本提言書は５、６月に政府主催で開かれる「全民経済永続発展会議」での参考として提出される予定だ。

提言書は、台湾経済が不振なのは中国への過度な投資が原因であると指摘し、今後の経済再生への考え方と対策が示された。陳博志・台湾シンクタンク会長は同日、会議で本提言書の内容について説明し、政府が第一次経済発展会議を招集した２００１年以降、対中投資の産業項目は大幅に開放され、台湾から中国への投資金額が増え続けた結果、台湾の産業空洞化と資金、人材流出、失業率の上昇などの問題が引き起こされたこと、また中国政府が台湾企業や政治家を利用し国内に形成された親中国派勢力が台湾の政府に圧力をかけていることなどを指摘した。

提言書では、「考え方」の面において、これ以上「グローバル化」を「中国化」にすり替えないことが重要とされた。すなわち、中国にだけ投資を集中させる方法を転換し、国内への投資を促進すること、中国への投資および経済貿易を進めるうえで国全体の利益を考慮し、個々の企業の利益を優先させるべきでないこと、および旧来型産業や製造業の再生を強化することなど、６つの提言が示された。

さらに「対策」の面では、（１）中国との直接通航は台湾の中国経済への依存を加速させ、台湾の経済と安全保障に大きな弊害となるため開放しない。（２）政府は上場企業の対中投資における比率を減価償却残高の４０％に制限し、非友好国への過度な資本集中を回避し、中国の台湾に対する敵意が消えるまで開放しない。（３）外国人労働者政策について徹底して検討し、企業の外国人労働者雇用について適切な雇用枠を設定する。（４）政府の中小企業に対する指導を強化し、国内への投資促進措置を積極的に講じ、政府の管理する基金を台湾産業への投資に優先して割り振り、とくにこのうちの一定の割合を台湾の新興産業に投入する。（５）中国との経済貿易に関する管理体制を強化し、台湾への投資優先という原則のもと、税制優遇措置など有効な政策を打ち出す。（６）台湾企業の中国投資に関する情報の透明化を促す。（７）投資に関する法律を整備する、などを含む１０項目の提案が示された。

提言書ではまた「与野党が不要な対立を止め、国民全体の利益に立ち戻り、経済、社会問題の改善に取り組んでこそ、台湾の国民の期待に応えることができる」との考えが示され、政府関連省庁と各党の政治家に対し、台湾経済と社会の問題に対する警告を正しく受け止め、有効な政策措置をすみやかに講じ、国民の期待に応えるよう呼びかけている。

《２００６年３月２０日》