台湾南部のＩＴイノベーションを牽引する「高雄ソフトパーク」

　高雄市はかつて、台湾の重工業と製造業発展の重鎮であったが、グローバル化による競争に伴い、伝統産業は深刻な状況に直面した一方で、産業転換の契機をもたらした。高雄のデジタルコンテンツ産業の数と関連産業の就業者数はこの３年間で倍近く成長し、投資額も１９倍に成長した。この中で、半数以上が高雄市の「高雄軟体科技園区」（高雄ソフトウエア・テクノロジー・パーク、以下、高雄ソフトパーク）によるものであり、同パークが台湾南部のＩＴイノベーションの牽引役を担い、南部の産業転換の促進に成功したことを示している。

　高雄のデジタルコンテンツ産業の企業数は、２０１０年の４６社から、２０１３年には８８社へと増加し、投資額は３億１，７６０万元（約１２億円）から６６億１３０万元（約２５０億円）へと増加した。就業者数も８５８人から１，６８１人へと増加した。上述の各分野のデジタルコンテンツ企業の代表の中で、半数以上が高雄ソフトパーク内にある企業であり、業界を牽引する役割を担う立場でもある。

　２００８年２月に正式運営した「高雄ソフトパーク」は、発展段階において、重点産業を選定したほか、（財）資訊工業策進会、（財）工業技術研究院、経済部中小企業処高雄軟体（ソフトウエア）育成センターなど外部の研究機関や指導機関の同パークへの入園を積極的に誘致した。

　産業クラスター化の発展を推進するため、経済部加工処は、中小企業による新技術の開発推進を奨励する「中小企業創新研開計画」（ＳＢＩＲ）、「デジタルコンテンツ産業発展補助計画」「中小企業即時技術支援・指導計画」など、政府リソースを積極的に導入した。また、同園区の６６８８土地リース代優遇措置、家屋税減免、融資利息や土地リース代の補助などの政府リソースも導入した。

　また、企業が継続して発展していく上で必要となる人材を提供するため、経済部加工処は、地域のコンテンツ資源をより一層統合し、南部地域のＩＴ関連産業の人材の技術・知識の落差を補い、同パーク内の企業と南部地域にある大学によるＩＴおよび動画の専門課程開講を支援すると共に、パーク内に動画制作などのクラスも開設し、人材育成を図っている。さらには、パーク内にある企業間の異業種連携をマッチングし、産業連携のプラットフォームを確立し、企業のビジネスチャンス拡大をサポートしている。

　２０１４年１２月１１日現在、高雄ソフトパークに認可を受け、進出している企業数は２４９社で、投資総額は１７４億５，７００万元（約６６０億円）、３，９００人以上の就業の機会を創出し、同パークは南部の知識集約型新興産業クラスターの新しい重要拠点を形成することに成功した。

【経済部　２０１４年１２月１２日】