第76回世界保健総会(WHA)が閉会、台湾の参加を支持する国際社会の声はより高まる
世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関である第76回世界保健総会(WHA)が5月30日に閉会した。WHO非加盟国ながらWHAへのオブザーバー参加を目指す台湾に、今年も多くの支持が集まった。この期間、世界100か国近くに上る政府関係者、国会議員、各分野の人々など延べ1万人近くが、WHO及びその他の場面で台湾のために声を上げてくれた。これに対して中華民国(台湾)外交部は5月31日に発表したニュースリリースで謝意を表明した。WHA参加を目指す台湾の働きかけと、それに対する各国の反応は以下のとおり。
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今年のWHAでは、衛生福利部の薛瑞元部長(=保健大臣)が率いる代表団「世衛行動団」がジュネーブ入りし、中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つ国々の代表を招いた外交レセプション、海外メディアを対象とした記者会見、国交樹立国や友好国の代表との二者会談の開催や、WHO主催で行われたウォーキングイベント「Walk the Talk」や、民間団体や海外で暮らす台湾人出身者が主催するイベントなどへの参加を通して、WHA参加を目指す台湾の声を世界に向けてアピールした。WHA開催期間中、わが国は、米国、日本、オーストラリアなどとジュネーブにおいて「GCTF(グローバル協力訓練枠組み)」のワークショップを開催し、次のパンデミックに対応するためのレジリエンスについて議論した。わが国はまた、世界医師会(WMA)との共催でワークショップを開催し、各国の人々と災害医療の経験について知見を共有し、わが国の災害時及び緊急時の医療能力をアピールした。
今年のWHAでは、国交樹立国のうちWHO加盟国である12か国が、WHOに対して「台湾をオブザーバーの身分でWHAに参加させること」を提案し、そのうちベリーズ、ナウル、エスワティニ王国、マーシャル諸島の4か国の代表が、中国側の代表と計2ラウンドにわたる2対2弁論を展開した。この提案は結局、WHAの議題に加えられることはなかったものの、これら12か国はWHAにおいて引き続き台湾のために正義の声を上げてくれた。
外交関係はないものの、わが国と近い理念を持つ米国、日本、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、リトアニア、チェコ、ルクセンブルクが昨年に引き続き、台湾のために発言してくれた。それに加えて今年は、エストニアがWHAにおいて初めて台湾のWHA参加を支持すると明確に発言。ニュージーランドとラトビアが、地理的な空白を生み出すべきではないなど、WHO及びWHAへの参加を求める台湾を想定した発言を行った。
中国は今年のWHAでも、わが国がWHO関連の業務に参加できるよう調整したと虚偽の主張を行うとともに、台湾のために発言した国々について「WHAで政治的干渉を行っている」と批判した。中国の、事実に反する妄言は明らかに国際社会の目を欺こうとする行為である。WHOに圧力を加え、WHOから台湾を排除しようとしている元凶は中国にほかならない。WHAを政治利用し、台湾の人々が持つ健康に関する権利を奪おうとしているのは中国そのものなのである。中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属しておらず、中共政権が台湾を統治したことは一日たりともない。台湾の人々が選んだ政府のみが、WHOなどの国際組織で台湾の人々を代表し、台湾の人々の健康に関する権利を守ることができるのである。WHO及びWHAに参加することは、わが国のすべての人々が望むところであり、コンセンサスでもある。中国がこれからも、自分のことしか考えない政治的思考を持ち、手段を選ばないその横柄な態度で台湾の国際参与を阻害するならば、中国政府に対する台湾の人々や国際社会の嫌悪感や反感は増すばかりだろう。中国は責任ある態度で全人類の公衆衛生上の安全を考慮すべきであり、台湾の国際参与を支持する国際社会の正義の声をこれ以上無視すべきではない。
Taiwan Today:2023年6月1日
写真提供:外交部
世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関である第76回世界保健総会(WHA)が5月30日に閉会した。WHO非加盟国ながらWHAへのオブザーバー参加を目指す台湾に、今年も多くの支持が集まった。写真はWHAが開催されたスイス・ジュネーブにて。
