国連は台湾の2,300万人が国連体系に参加できないという問題を解決し、周辺地域の平和と安定、安全を守るべき
第78回国連総会が9月5日より米ニューヨークで開かれる。9月19日から26日には一般討論演説が行われることになっている。中華民国(台湾)外交部は29日、ニュースリリースを発表し、国連加盟を目指す台湾の立場を伝えた。ニュースリリースの内容は以下のとおり。
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今年の総会は「Rebuilding trust and reigniting global solidarity: Accelerating action on the 2030 Agenda and its Sustainable Development Goals towards peace, prosperity, progress and sustainability for all(信頼の再構築とグローバルな連帯の再燃:あらゆる人々が平和、繁栄、進歩、持続可能性を享受するための2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)達成へ向けた行動の加速)」をテーマに掲げている。ひるがえせばこれは、世界がまさに岐路に立っており、各国が心を一つにして協力し、SDGs達成へ向けた動きを加速させることが当面の急務であると国連が認識していることを浮き彫りにするものである。
この1年余り、世界はさまざまな課題に直面してきた。権威主義の拡張は世界各地で深刻な人道的、経済的危機を作り出し、ルールに基づく国際秩序を脅かしてきた。ロシアによるウクライナ侵攻は、この地域や、ひいては世界の平和を著しく破壊し、「国連憲章」が義務づける「国際紛争の平和的解決」に背いてきた。また、中国によって繰り返される軍事的挑発は、台湾海峡の現状を実質的に変更すると同時に、インド太平洋地域の平和と安定に深刻な脅威を与えている。
このほか、気候変動、新型コロナウイルス禍からの回復、SDGsなど、国境をまたぐ議題については、各国による参与が必要である。台湾はかねてより、国際社会における善良なパワーであり、責任ある一員であり続けてきた。国際参与に強い意欲を持ち、自身の能力と経験をもって貢献することで、国際社会がSDGsやコロナ禍後の回復といった目標を達成できるよう協力していきたいと考えている。
しかるに国連体系は、長期にわたって中国の圧力を受け、いまだに国連第2758号決議に対する誤った解釈を行い、台湾を国連体系から不当に排除し続けている。わが国の国民やメディアは、いまでも国連を参観することが出来ず、国連の会議活動に出席したり、取材することすら許されない。台湾もまた、国連関連の会議、メカニズム、活動に参加することも、貢献することもできずにいる。我々は改めて訴える。国連第2758号決議は台湾と無関係のものであり、中華人民共和国が国連体系において台湾を代表する権利を同国に授与したものではない。台湾と中国が互いに隷属しないのは、台湾海峡の客観的現状であり、否定することのできない事実だ。台湾の住民が選んだ政府のみが、国連体系において台湾の住民を代表することが出来るのだ。
国連加盟を目指す台湾の今年の訴求は大きく4つにまとめることができる。
(一)国連第2758号決議の誤った解釈により、台湾に住む2,300万人が国連体系から不当に排除されている状況について改善すべきである。
(二)国連は、わが国の住民やメディアが国連を訪問、会議に出席、取材する権利を不当にはく奪している。即刻これを改めるべきである。
(三)国連は台湾海峡及び近隣地域の平和と安定、安全の保護・維持に積極的に努めるべきである。
(四)国連は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)関連の会議、メカニズム、活動に台湾が有意義な参加を果たすことを受け入れ、且つ貢献できるようにすべきである。
なお、中華民国政府は引き続き、穏便且つ実務的な方法で台湾の国連加盟を目指していく。例えば国交樹立国が国連の一般討論演説でわが国のために発言するよう促す。また、国交樹立国の国連大使に依頼し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長に連署の書簡を出すよう求め、グテーレス事務総長が国連第2758号決議の間違った解釈を改め、国連体系から台湾の住民が不当に排除されている問題を徹底的に解決し、国連の「誰ひとり取り残さない」という理念を実現できるよう働きかける。外交部は今年、台湾の奨学金を得て台湾に留学する各国の若者たちに、台湾の訴求を世界各地に伝えるよう求めており、より大きな反響が得られるよう期待している。
外交部の呉釗燮部長(外相)はすでに、各国の主要なメディアへの寄稿を通し、中国の軍事的挑発や、台湾海峡の平和と安定を破壊する無責任な行動を直視且つけん責するよう国際社会に呼び掛けている。同時に、台湾が信頼に値するパートナーであり、そして必要不可欠なパートナーであることを強調し、複雑さを増すグローバルな問題と向き合うためにも、国際社会は台湾の参与を受け入れるべきだと訴えている。
外交部はまた、今月28日に『致平等(邦題:平等のために)』と題する新たなプロモーション動画を発表した。5つの実際の取り組みを紹介することで、台湾が教育、ジェンダー平等、医療・福祉、飢餓の消滅、パートナーシップの構築などの分野でSDGs(持続可能な開発目標)達成のために積極的に努力し、貢献していることを伝えている。
また、国連関係者や国際社会が台湾への理解を深められるよう、政府は国連総会開催期間中、米ニューヨークで「台湾海峡の平和と安全」、「持続可能な開発」、「公衆衛生」、「科学技術政策」という4つをテーマにサテライトイベントを開催し、さまざまな方法で台湾のプロモーション活動を行うことにしている。与野党の立法委員(=国会議員)から成る視察団もニューヨークを訪れ、さまざまなイベントを通して、国連体系への参加を希望する台湾の人々の声を届ける。
外交部は、国交樹立国、台湾に友好的な国々、民間人、在外華僑などが、長期にわたって台湾の国際参与を支持し、協力していることに感謝する。また、台湾の民主主義の価値や台湾海峡の安全に揺るぎない支持を示す国際社会にも感謝する。我々は改めて国連に呼び掛ける。台湾は、世界の平和と安定を維持し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に必要不可欠な一員である。国連はこれを直視し、台湾が国連体系に参与することを速やかに受け入れなければならない。
Taiwan Today:2023年8月30日
写真提供:外交部
中華民国(台湾)外交部は29日、国連加盟を目指す台湾の訴求を4つにまとめ、台湾が国連体系に参加することの必要性を伝えた。写真は台湾の国連加盟を訴える今年のロゴ。
