北海道の様似アイヌ協会の一行が原住民族委員会を訪問、台日の先住民族交流について意見交わす
台湾先住民族行政を所管する原住民族委員会のイチャン・パロー(Icyang‧Parod)主任委員(大臣に相当)は4日、日本の様似アイヌ協会(北海道様似郡様似町)の熊谷カネさんとその一行の表敬訪問を受けた。原住民族委員会は、台湾先住民族の踊りで一行の訪問を歓迎するとともに、台湾と日本の先住民族政策の発展や今後の協力・交流などについて意見を交わした。以下はイチャン・パロー主任委員の歓迎の挨拶。
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本日は原住民族委員会を代表して、北海道の様似アイヌ協会の一行を出迎えることができて非常に嬉しく思う。私は2016年と2022年に北海道を訪れ、国立アイヌ民族博物館を参観し、先住民族文化の発展や経済産業政策などについて意見交換を行ったことがある。
1940年代、私の両親は日本の教育を受けて育った。このため私も小さいころ、アミ語以外で最初に接触した外来語は、台湾華語ではなく日本語だった。だから私も簡単な日本語ならできる。
2016年8月1日、蔡英文総統は政府を代表して、先住民族への謝罪(訳注:過去の政権によって先住民族が不公平な扱いを受けてきたことについての謝罪)を行った。蔡総統はアジアで初めて、先住民族に謝罪を行った国家元首となった。蔡総統は謝罪文の中で、9項目の謝罪と8項目の約束を提示した。これが蔡英文政権にとって、その後の8年間の先住民族政策の基礎となった。
例えば台湾の政府はかつて、先住民族が自身の母語を使用することを禁止してきた。このため先住民族の言語が大量に失われてしまった。蔡総統はこれについて謝罪すると同時に、「原住民族語言発展法」の立法を急ぐことを約束した。これは台湾で10年間も議論されながらも、法制化に至っていないものだった。しかし、蔡総統の謝罪の翌年(2017年)に法制化された。これによって台湾の先住民族の言語は「国家言語」と位置付けられ、先住民族の言語の復興を担当する専門の機関が設置された。先住民族の言語によって政府の公文書が作成され、先住民族の言語を教える教員の専業化などの措置が講じられた。小学校から大学に至るまで、先住民族言語を学ぶカリキュラムが制定され、先住民族言語の教学が奨励された。先住民族言語の普及のために政府が捻出する予算も、当初の1億台湾元(約4.7億日本円)から18億台湾元(約85億日本円)に引き上げられた。
先住民族言語の普及は、行政部門が率先してやらなければ効果がない。だから私自身も、国会での業務報告や国内外で大きなイベントに参加するような重要な場においては、先住民族の言語を使うようにしている。原住民族委員会の管理職による業務報告も、それぞれの母語で行うよう求め、先住民族言語普及の雰囲気作りに努めている。台湾と日本は一貫して緊密な関係にあり、互いに助け合ってきた。我々が今後も交流を続けることで、アイヌの人々の今後の発展に、少しでも力になれればと考えている。
Taiwan Today:2024年3月5日
写真提供:原住民族委員会
原住民族委員会のイチャン・パロー(Icyang‧Parod)主任委員(大臣に相当)は4日、日本の様似アイヌ協会(北海道様似郡様似町)の熊谷カネさんとその一行の表敬訪問を受けた
