呉外交部長が日本経済新聞に対し、「民主主義国は連携して権威主義の拡張阻止せよ」
呉釗燮外交部長(=外務大臣)が4月30日に日本経済新聞とNikkei Asia(日本経済新聞社による英字メディア)の合同取材に応じた内容が同日、「台湾外交部長:中国の封鎖リスク、友好国と対応議論」及び「Taiwan hails U.S.-Japan-Philippines ties as 'great deterrent' to China」のタイトルでそれぞれのウェブサイトで公開された。日本経済新聞の5月1日の紙面にも掲載された。
呉外交部長は、海外でしばしば中国による台湾侵攻のタイミングが取りざたされていることに対し、「中国はここ数年軍事力を増強しているが経済が減速しており、指導者は国内問題に注力している。現時点で人民解放軍が台湾侵攻に向けて積極的に準備している形跡は見られない」と述べた。
呉外交部長はまた質問に答える形で、「中国が台湾に経済封鎖を仕掛ける可能性は排除できない。このため台湾は食料やエネルギー、武器弾薬の備蓄を強化し、対応力を高めている」と説明。また経済封鎖は国際法上、戦争に準ずる行為だとし、世界の貨物船の50%以上が台湾海峡を通過していること、台湾は国際的な航空路の要衝に位置すること、世界の半導体の60%、先端半導体の90%以上が台湾で生産されていることなどを挙げて、「中国による経済封鎖は国際航路に影響を及ぼし、世界経済に大きな災害をもたらす。国際社会は必ず強く反発する」との見方を示した。
呉外交部長はさらに、「台湾海峡での軍事衝突は差し迫っておらず、避けられないものでもない。現在最も重要なのは民主主義国が連携を強めて権威主義の拡張を阻止することだ」と強調した。
呉外交部長は、日本が米韓、米比と新たな同盟関係を築いていることを挙げ、インド太平洋地域の平和と安定維持に向けた日本の努力を評価。また、日本はQUAD(日米豪印戦略対話)の主要なメンバーであるほか、オーストラリア、イギリス、米国とAUKUSの第2の柱(AI、量子、極超速兵器などの先端技術分野での協同研究・開発)についても議論していることを指摘した。
呉外交部長は、イギリス、カナダ、欧州連合(EU)がみなインド太平洋戦略を見直し、台湾との関係を強化していること、各国の首脳会談や重要な国際会議が繰り返し、台湾海峡の平和と安定は世界の安全保障と繁栄にとって極めて重要であると強調していること、そして、米国などがさらに台湾海峡で航行の自由を実践し、地域の平和と安定を確保していることに触れ、理念の近い国々の台湾に対するこうした支持に「我が国は深く感謝する」と述べた。
呉外交部長は、台湾は過去8年に及ぶ蔡英文総統によるリードの下、国際社会公認の重要な民主主義国となり、権威主義の中国と対照的な存在になったほか、世界の産業チェーンでは重要な役割を担い、国際的な人道危機の多くに支援の手を差し伸べて国際社会の「善のパワー」になっていると説明。また、中国の脅しに対して台湾は終始温和で理性的、責任ある態度を保ち、挑発することもおびえることもせず、自衛力の強化で中国の侵攻を抑止していると指摘した。
呉外交部長はそして、次期総統の頼清徳氏は従来の政策を継承し、台湾海峡の平和の現状維持に努めると公の場で表明しているとし、「台湾はこれからも民主主義国が権威主義の拡張に対抗していく上での重要なパートナーであり続けるだろう」と述べた。
Taiwan Today:2024年5月2日
写真提供:外交部
呉釗燮外交部長(写真)が4月30日、日本経済新聞などの取材に応じ、「民主主義国は連携して権威主義の拡張を阻止すべき」と訴えた。