蔡英文前総統、チェコの首都プラハで開催の「フォーラム2000会議」でスピーチ
蔡英文前総統は14日、チェコの「Forum 2000 Foundation」の招きを受け、首都プラハで開催された第28回「フォーラム2000会議」に出席し、「民主主義の決意とレジリエンスを証明する」(Proving Democracy's Resolve and Resilience)のタイトルで英語のスピーチを行った。以下はその概要。
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今年、自らプラハを訪れて「フォーラム2000会議」に参加することができて非常にうれしく思う。
過去数年、世界はさまざまな困難に直面してきた。世界の民主主義国家は、いまだかつてない挑戦に直面した。新型コロナウイルスのパンデミックからその後の世界経済の衰退、気候変動の影響から、核の不拡散や戦争。我々はとりわけ、権威主義の政権がその統治方法により自信を持つようになったことも感じてきた。
私たちは感じている。彼らがいま本気で、権威主義は民主制度よりもより適応しやすいと信じていることを。しかも、これらの指導者は、こうした統治方法を世界各地に輸出したいと考えている。
グレーゾーンでの行動、軍事的脅威と侵略、認知戦と情報戦などを通して、権威政権はますます侵略的な方法によって、人々の民主体制への信頼を崩し、我々の社会を二極化しようと企んでいる。
こうした動きの中、台湾は脅威の最前線に立っている。最近の行動で言えば、中国は今朝(14日朝)、台湾周辺で軍の合同演習「聯合利剣-2024B」を実施すると発表した。この50年以上、台湾はずっと中国共産党政権からの脅威に直面してきた。中国はあらゆる手段を使って台湾を併呑しようと試みてきた。こうした脅威は、私が総統在任中も増えることはあっても減ることはなかった。それゆえに台湾は、国際社会における重要な一員となった。民主国家やその指導者らがこぞって台湾への支持を示し、台湾との提携を望み、そして台湾を訪問するようになったのだ。
一方でこの数十年間にわたって中国の脅威にさらされ、そして国際環境の変化に適応してきた経験は、台湾の社会とその指導者たちの強靭性を十分に、且つ実務的なものにしてきた。
台湾は社会全体の努力を通して、志を同じくする盟友たちと安全保障方面で協力し、脅迫や威嚇に抵抗してきた。我々の努力の方向は、例えば国防の軍事改革、民間防衛、メディア・リテラシーなどだ。ここぞというときはいつも、台湾の市民社会は自発的に、苦労の末に手に入れた台湾の民主主義を守ろうとしてきた。
言い換えれば、台湾の人々は幾度となく、民主主義が我々にとって妥協できない一部であること、我々にとって間違いなくアイデンティティの一部であることを示してきた。我々の身分を守るということは勇気と強い意志が必要だ。だがこれは、台湾人としての我々の信念なのだ。
今年1月、軍事的脅威、偽情報による干渉や認知戦などに直面しながら、台湾は世界が「スーパー選挙イヤー」と呼ぶ2024年の最初の選挙を実施した。今年は世界72か国で選挙が行われ、世界人口の半分が投票所へ向かい、彼らの未来の指導者を選ぶ。台湾の人々は積極的に選挙に参加し、興奮しながら投票所へ向かう。そして、投票という行為によって、自分たちを導くのにふさわしく、且つその能力があると考える人を支持する。だから私は強く信じている。民主主義は間違いなく、台湾にとって唯一の選択なのだ。台湾に住む私たちは、自由と民主主義のライフスタイルを持っている。
台湾の人々は民主主義の価値を誇りに思うだけでない。それを支持し、近い理念を持つ国々と経験を共有し、自由で民主的な世界秩序を守り、そして世界が引き続き直面する課題に対応していきたいと考えている。
民主国家は明確なシグナルを送らなければならない。それはすなわち、いかなる民主国家への威嚇や武力行使も、深刻な結果を招くということだ。
団結は社会や政治の側面でも重要だ。例えば「フォーラム2000会議」から生まれた「民主復興聯盟」は、民主主義国家とその提唱者が協力を通して世界秩序の維持と改善を図り、新たな議論を構築することで、我々の民主制度をより強靭で魅力的なものにしている。
我々は社会全体へのアプローチを採用し、独立したメディア、企業、市民社会、女性、若者、宗教団体、地方自治体、一般市民など、さまざまな利害関係者(ステークホルダー)が参加できるようにすべきだ。民主主義国家は自らのアイデンティティと定義に自信を持つ必要がある。そうすることで我々は自らを助け、互いを助けることができるからだ。
台湾の民主主義は欧州の民主主義とよく似ている。なぜならいずれも独裁主義に反抗した先人たちの犠牲に成り立っているからだ。我々にも勇敢な先人たちがいた。彼らは民主主義と自由の追求において、その後の何世代にもわたって啓発を与えている。
我々の多くが、こんにち自由を享受できるようになるまでに長い道のりを歩んできたのだ。そして、自由へ向かうため、まだ困難な旅を続けている人たちも一部にはいるだろう。このため、民主主義の大切さと脆弱性に対する我々の理解は同じなのだ。我々は同じような体験をしてきたからこそ、一致団結することの重要性を一層強く訴えているのだ。
最後に、私に欧州を訪れて皆と意見交換をする機会を与えてくれた「Forum 2000 Foundation」に改めて感謝したい。
Taiwan Today:2024年10月15日
写真提供:蔡英文前総統フェイスブックより
蔡英文前総統は14日、チェコの首都プラハで開催された第28回「フォーラム2000会議」に出席し、「民主主義の決意とレジリエンスを証明する」のタイトルでスピーチを行った。
